カウンセリングハウス Concierge順子 〜コンシェルジュ ジュンコ〜 Concierge順子はこころの救急車です。
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恋愛小説・心理カウンセリング

5.初恋
まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき、前にさしたる花櫛の花ある君と 思ひ けり、やさしく白き手をのべて
林檎をわれに あたへしは、薄紅の秋の実に、人こひ初めしはじめなり
わがこころなきためいきの、その髪の毛にかかるとき、たのしき恋の盃を、君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に、 おのづから なる細道は、誰が踏みそめしかたみぞと、問 ひ たまうこそこいしけれ
                                                           島崎藤村「若菜集」より

初恋は、淡く、切なく、愛しい人が傍を通るだけで、心臓が高鳴り、声が震え
そして、実ることを望むことよりも、自分の心の高揚を大切にするところがあるような・・・。  
独占欲も嫉妬心もかなぐり捨てて、ただ、ひたすらに思う恋心。
出来ることなら、掌と掌を重ね合わせて歩いてみたい、そんな直向な恋心。
忘れていない無償の愛を。
相手の吐息が感じられるだけで、相手の声色が聞こえるだけで満足していた小さな思いを。

だけど、人は大人になるだけで「初恋」には返れない。
それが例え、汚れると呼ばれる感性であったとしても、共に生きるということは、愛を望み、理解を望み
抱かれたいと思い続ける中にある。
捧げるだけの愛を拒否して、求めることに応えてくれること、それを愛だと定義する。
「幸せ」の価値観は、確かに生きていく中で変化するけれど、愛がこころを、えぐるとき
そよ風のように吹いていく「初恋」という乙女心。


初恋の相手を覚えていますか?
そう、初めて異性を意識した時、何時だったか?どんな人だったか?いくつの頃で相手はいくつ?名前は?
もしかしたら、今も一緒?
大人になって、人を愛して、そして悩んだ時に「あんな愛し方も昔は出来たのかな。」と初恋を振り返ってみるのも
自分の変化を知るヒントとなります。
相手に望むこと・求めることが数多くあっても、愛はけして「完結」しないものです。
例え、結婚という形式を持ってしても、相手のどこに感謝して、相手のどこを認めるべきか・・・
それを忘れて日常を過ごす度に、相手の愛に疑問を持ち続けます。
そんな時、ふっと初恋が過ぎっていくと、どうして自分の愛が変わってしまったか捉え返す「きっかけ」となることもあります。
初恋という淡い思いの頃・・・先輩が目の前を通っただけで、喜びに踊った心。
そんな懐かしい思い出を、時に振り返ることも「愛」とは何かを感じることに大切なエッセンスかもしれません。
一度しかない「初恋」は「後悔と、次の恋が訪れる経験則」を掻き消すものなのかも知れません。
人は生きていく中で、異性にだけは「無償の愛」を忘れていく・・・男と女が向かい合うということは
どんな意味があるのかと、その答えは愛を繰り返す中からよりも
自分自身の愛の変化を探索していく中に見えてくるのかも 知れません。


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