20.羞恥心
やは肌の熱き血汐にふれも見で
寂しからずや道を説く君
与謝野晶子「みだれ髪」
貴方と私は生きている世界も、住んでいる世界も違う人。
手の届かない恋心に、手を伸ばそうとすると、ふと顔を覗かせる「羞恥心」。
熱き情熱を、もてあまし・・・だけど、ひと時だけ、貴方のことを、私の世界まで落としてみたくなる「悪戯心」。
そう、明日からは他人でもいい、どうせ男と女の欲情などは永遠の愛でもなんでもない。
そしらぬ顔して、二股の道の違う世界へ歩いていく・・・。引きずる愛など、もてあますだけ。
一瞬だけの慰めの、落ち行く先に落ちるだけ。
男と女の愛のかたち・・・求めることが無い愛は、永久の誓いなどという綺麗ごとなど知りもせず、羞恥の心を超えながら
瞬きする間の瞬間に咲いては散るような感性の花火の中にあるのかもしれない。
だけど、貴方と私は未来が違う。
みだれ髪にあるように、追い続けることが出来るなら、羞恥の心を秘めながら、貴方に抱く情念も
小指から落ちる血のように、流れて消えていけるのに・・・。
所詮は、世界の違う人。
所詮は、男と女は永遠じゃない。
だけど言えない「みだれ髪」・・・とどめているのは「羞恥心」。
羞恥心は心理学的には、個人が集団(コミュニティ)に属したいと思う習性から生まれるとされます。
性に絡められることが多いですが、日常の中で生じる箇所は多岐にわたると思います。
支持率が風前の灯のような大臣とか、煙草をポイ捨てした人とか・・・羞恥心と言われて、思い出したのは
当時の時代背景を察すると、羞恥の心もあったでしょうが、それを乗り越えてプレイボーイとも言われる
「与謝野鉄幹」を追いかけていった与謝野晶子の情念でした。
男と女の永遠を、刹那的にしか捉えられない自分自身には、そんな晶子が、逆に微笑ましく感じられます。