カウンセリングハウス Concierge順子 〜コンシェルジュ ジュンコ〜 Concierge順子はこころの救急車です。
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恋愛小説・心理カウンセリング

2.春は要らんかねぇ
春でも、夏でも、秋冬でも売れるものなら、なんでも良かった。
自分の中の孤独と空虚を、引き取ってくれる人ならば、誰でも良かった。
生まれたときから、愛情というものは無機質で、私の心を少しも揺さぶらないものだと思って少女を止めて女になった。

心の底で渦巻いているものは理解できた。
「愛することが出来ない自分を、誰か愛してみてください。」と・・・。
だけど、返事が無いから、かりそめにでも女郎花(おみなえし)を咲かせてみることにした。
満開に咲いた、その花は所詮「仇花」であることに気がつくまでに時間は要らなかった。

もがけば、もがくほど「かりそめ」は、自分の傷を深くする。
求めても得られない、人の真実の愛とは実らない果実に似ている。
通り抜けていく数が多いほど、当たりもあるのかという勘違いに気づいた時には、もう遅く・・・
私のカレンダーには「夏・秋・冬」としか残っていない。

春は・・・・売ってしまった。

愛なんて何処を探しても落ちていないと思えば、春を無くすほうがましだった。
もう、そこには目的などなく、まるで自分の空虚な心を行為で埋める、お腹が空いたから食事をするような、単純で短絡的な
概念の方が、自分らしく思えた。
いや・・・その方が「楽だった」のかもしれない。

延々と続く毎日の単純な作業が、自分の生命を引き伸ばしてくれる。
「春は要らんかねぇ。」
竿竹屋は、潰れないけれど、春屋は、いずれ潰れてしまう。
不安を抱きながらも、どこかまだ、愛を探している・・・そんな自分に嫌気がさす。
絶望という岸壁にでも立たされたら、いっそ、諦めもつくのだろうが。
「春は要らんかねぇ。」
自分で閉店することは不可能だから、私を止めてくれる愛を待ち焦がれている。


空しさ・気だるさ・やるせなさ・・・愛のさすらい人は、本当は愛されたいと思う人。
生まれて、一度も愛を知らずに生きると、どうやって愛したらよいのか解らないのかも知れません。
そして、愛を受け入れること自体が恐くなってしまうのかも知れません。
その癖、人は孤独には耐えられずに愛を知りたくなり、それが見つからないと感じると自分の中の空虚を埋めるために
不安定な心の恐怖感から逃げ出すために、愛の存在が見えないまま、迷宮の扉を開いてしまいます。
純粋・純潔・純情・真心・・・それらを否定して生きること=愛の存在を否定して生きることを選択するほうが
むしろ、居心地の良さを感じたりします。
だけど、愛とは、愛されている実感です。そして、それに答えようとする自分の性の現実です。
目に見えない「愛」という心は、実は感性でとらえられたり、皮膚感に伝わってきたりするものです。
伝え合い、愛されましょう。
一生に一度は、それを紡ぎ合える人にきっと巡り逢う・・・。その愛を、しっかりと受け止めて離さないように。
                        


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